選ばなかった道を行っていれば、どんな人生が待っていただろう
主人公ジェイソンは、原子物理学界の新星だともてはやされていたが、
彼女が妊娠したことをきっかけに学究生活と名声を諦め、
愛する妻と息子との平穏な幸せを手に入れた。
別の人生を考ることもあるけど、人生に満足していた。
ある日、彼女と子どもを捨てて名誉を選んだ別のジェイソンが、
人生を奪いにやってくる。
自身が発明した5次元の確率空間を移動できる装置を使って。
ジェイソンは、別の確率で分岐した人生を歩んだ大勢の自分がいることを知る。
人生を変えた大きな分岐点がいくつかあって、
あのとき選択を間違えなければ違う人生があったのに。
名誉を取ったジェイソンのように、別の人生を取り戻したくなることもある。
いつも納得のできる選択をできるわけじゃない。
間違えに気づくのはあとからだし、
あの瞬間が自分にとって大事なときだと気づくのもあとになってから。
間違った選択をすることは誰にでもある。
本の中で印象的な言葉がある。
「自分がした選択と折り合いをつけ、学んでいくもの」
二度と会えない人を思って悲しいなら、その人に会えなかった人生があることを考えて。
現状が受け入れられないほど辛かったら、別の人生を歩んでいる自分は疫病で死にかけていることを考えて。
今の幸せが当たり前だと思っているなら、もっと不幸な人生を行った自分がジェイソンの装置を使ってこの人生を奪いに来ていることを考えて。
今の生活を大事にしようと思わせてくれた本でした。
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