お久しぶりです。
葡萄の最盛期でブログを更新できずにいました。
大好きな「モモ」を読み返していたら心に響いた言葉があったので、載せます。
〜モモ ミヒャエル・エンデ作(p.48)〜
「なあ、モモ、」と彼はたとえばこんなふうに始めます。
「とっても長い道路を受けもつことがよくあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、こう思ってしまう。」
彼はしばらく口をつぐんで、じっとまえのほうを見ていますが、やがてまたつづけます。
「そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげてみるんだが、いつ見てものこりの道路はちっともへっていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息が切れて、動けなくなってしまう。こういうやりかたは、いかんのだ。」
ここで彼はしばらく考えこみます。それからやおらさきをつづけます。
「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」
またひとやすみして、考えこみ、それから、
「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」
そしてまたまた長い休みをとってから、
「ひょっと気がついたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶ終わっとる。どうやってやりとげたかは、じぶんでもわからん。」彼はひとりうなずいて、こうむすびます。
「これがだいじなんだ。」